弁護士業界を知る。
簡単に言うと、昔司法試験は、合格率が異常に低く、弁護士になれる人は少なかった。今は、合格率は高く、弁護士になれる人は多い。
でも、弁護士としては、実際に食べていけない人がかなり出てきている。
これが、今の状況です。
弁護士になる前に、試験という机上セレクションで、かなり厳選していたとういスタンスから、とりあえず弁護士にさせてから自由競争をさせて、セレクションしましょう。実際に仕事をさせるという意味では、そのセレクションは利用者にも頼りましょうというスタンスとなったといえます。
自由競争で弁護士を厳選していくときには、知識、実力の差がある弁護士が増え、玉石混交します。
法律やその他専門的な知識、実力は、外から見てわからないので、利用する方にとっては、どの弁護士が優れているかわかりません。
出版物やHPなどの情報発信をヒントに、実力を探るしかなく、なかなか厳しいです。
今も昔も、弁護士は紹介によって、利用するのが良いというのは、変わらないのかもしれません。
本来どの業界も実力勝負なので、これ自体は自然ですが、弁護士の扱う案件は、依頼者の人生に大きな影響を与えるものが少なくありません。
その意味では、見方を変えると、弁護士の競争に、利用者の方が犠牲になりうる環境とした点には、問題があるかもしれないという状況なのでしょうね。
今の制度は、弁護士には昔よりは簡単にならせるようにしておきながら、とりあえず実際に弁護士として仕事をさせてみて、だめなら退場いただくという制度設計にしたということが言えるとは思います。
退場の在り方が、問題ありとして懲戒処分をするか、あるいは、経営難として事実上退場していただくか、という状況です。
昔よりも懲戒事例数が極端に増えているということではないですが、質的に、ひどいケースが増えた感があります。いずれにせよ、昔は見られなかったような懲戒(犯罪を犯して懲戒とか。。)が増えた気がします。
以下、データです。
ご参考にどうぞ。
1 弁護士業界のデータ(弁護士白書 日弁連)
(1)弁護士の数
2000年は、1万7126人、
2010年は、2万8789人、
2020年は、4万2164人、
とかなり増加傾向です。
この間、日本の人口は、ほぼ変わらないか、減っています。
日弁連のサイト:https://www.nichibenren.or.jp/library/pdf/document/statistics/2021/1-1-1.pdf
(2)懲戒処分の数 (いずれも日弁連の統計サイトから)
大昔 1992年から2008年まで、二桁の件数。
10年前ぐらい 2009年から2012年まで、同上。
5年前ぐらい 2013年から2018年まで、ほぼ百件かそれ以上。
直近 2021年・・・104件
(3)司法試験合格者の数(いずれも日弁連の統計サイトから)
大昔 1990年 499名
1995年 738名
2000年 994名
2005年 1464名
2010年 2133名
2015年 1850名
https://www.nichibenren.or.jp/library/pdf/document/statistics/2021/1-3-2.pdf
(4)税務申告所得額 (日弁連の統計サイトから)
このデータからは、なかなか読み取れませんが、
東京を除き、所得金額は決して高いとは言えないとは思います。
自由競争と価格競争の表れともいえます。
https://www.nichibenren.or.jp/library/pdf/document/statistics/2021/1-2-4.pdf